家づくりを考えるとき、多くの方が気にするのが「建築費」です。
もちろん、予算内に収めることは大切です。
しかし、家は完成した瞬間に役割を終えるものではありません。
そこから何十年という時間を家族とともに過ごし、毎月の光熱費を払い、設備を交換し、メンテナンスをしながら暮らしていきます。
だからこそSHINKAでは、家づくりのコストを「建てるときにいくらかかるか」だけではなく、
イニシャルコスト+ランニングコスト
という長い時間軸で考えることが大切だと考えています。
そして、断熱性能について考えたとき、私たちが一つの目安として考えているのが、断熱等性能等級6、HEAT20 G2水準を基本とした高断熱住宅です。

家の価格は「建てたときの金額」だけでは決まらない
例えば、同じような大きさの家でも、断熱性能や窓の性能、気密性能、設備の選び方によって、暮らし始めてから必要になるエネルギーは変わります。
住宅の断熱性能は、外壁・屋根・床・窓などの「外皮」の性能によって大きく左右されます。
国土交通省も、住宅の断熱性能について「建物からの熱の逃げやすさ」と「建物への日射熱の入りやすさ」という観点から評価しています。
つまり、家づくりでは、
「安く建てられたから得」
とは必ずしも言えません。
建築費を抑えた結果、毎月の冷暖房費が大きくなれば、その差額は住み始めてから少しずつ積み重なっていきます。
反対に、性能だけを追求して建築費が大幅に上がれば、その追加投資を光熱費だけで回収することが難しくなる場合もあります。
だからこそ重要なのが、性能とコストのバランスです。

断熱性能は「高ければ高いほど良い」だけではない
断熱性能には、さまざまなレベルがあります。
現在の住宅性能表示制度では、断熱等性能等級4~7が設定されており、等級6・7は2022年に創設された上位等級です。
6地域の場合、UA値の基準は、
- 等級4:0.87以下
- 等級5:0.60以下
- 等級6:0.46以下
- 等級7:0.26以下
となっています。
数字が小さいほど、熱が逃げにくい外皮性能を意味します。
では、
「等級7まで上げれば、等級6より必ずお得なのか?」
というと、そう単純ではありません。
断熱性能を高めるためには、断熱材、窓、付加断熱など、さまざまな部分への追加投資が必要になります。
一方で、性能を高めることによって冷暖房負荷を抑えられる可能性があります。
つまり、
性能を上げるための追加費用
と
将来削減できる可能性のあるエネルギーコスト
の両方を見る必要があります。

HEAT20 G2が一つの目安になる理由
HEAT20は、住宅の温熱環境と省エネルギー性を考えるための住宅外皮性能水準として、G1・G2・G3を提案しています。
重要なのは、HEAT20が単純に「UA値だけ」を見ているわけではないことです。
G1~G3は、住宅内の温度環境とエネルギー性能を合わせた「住宅シナリオ」という考え方から設定されています。
6地域の代表都市である東京では、HEAT20 G2の参考UA値は0.46。
これは住宅性能表示制度の断熱等性能等級6の6地域におけるUA値0.46と同じ水準です。
だからこそ私たちは、関東・茨城で家づくりを考える際の一つの現実的な目標として、
「断熱等性能等級6、HEAT20 G2水準」
を重要な基準として考えています。

では、なぜ等級7ではないのか
ここは、SHINKAが大切にしている考え方です。
私たちは「性能を上げれば上げるほど良い」という単純な考え方では家づくりをしません。
住宅には、断熱性能だけではなく、
- 耐震性能
- 気密性能
- 窓性能
- 日射取得・日射遮蔽
- 換気
- 暖冷房設備
- 給湯設備
- 太陽光発電
- 蓄電池
- 外構
- 素材
- デザイン
- メンテナンス性
など、さまざまな要素があります。
限られた予算を、どこに配分するのか。
これは住宅性能を考えるうえで非常に重要です。
例えば、断熱性能を等級6からさらに上げるために大きな追加費用が必要になるのであれば、その予算を太陽光発電や高性能な窓、気密施工、日射遮蔽、耐震性能、暮らしを豊かにする設計などに振り分けるという考え方もあります。
「最高性能」ではなく、「暮らし全体としての最適性能」を考える。
それがSHINKAの考え方です。

断熱性能は「光熱費」だけで考えない
高断熱住宅のメリットは、光熱費だけではありません。
HEAT20では、G1~G3の住宅シナリオについて、エネルギー性能だけでなく室温環境も評価しています。G2では、6地域において冬期の最低室温がおおむね13℃を下回らないことなどが想定されています。
つまり、高断熱住宅を考えるということは、
「電気代を安くする」
だけではなく、
「家の中の温度差を小さくし、より快適な環境をつくる」
ということでもあります。
国土交通省も、断熱等性能等級6以上の住宅について、日射のコントロール、暖冷房・換気設備の適切な計画、レジリエンス性などを含めた設計の重要性を示しています。
断熱材を厚くするだけでは、高性能住宅は完成しません。
断熱・気密・窓・日射・空調・換気を一つの建築として考えること。
それが大切です。

「イニシャルコスト」と「ランニングコスト」を一緒に考える
家づくりでは、次のような考え方が必要です。
| 考える項目 | イニシャルコスト | ランニングコスト |
|---|---|---|
| 断熱性能 | 断熱材・施工費 | 冷暖房費 |
| 窓 | 高性能サッシ・ガラス | 冷暖房負荷 |
| 気密性能 | 気密施工・施工精度 | 冷暖房効率 |
| 空調 | エアコン等 | 電気代・交換費 |
| 給湯 | 高効率給湯器等 | 給湯エネルギー |
| 太陽光 | 設置費 | 購入電力の削減 |
| 蓄電池 | 設置費 | 電気の使い方・交換 |
このように考えると、住宅の「価格」は建築費だけではありません。
例えば、国土交通省の省エネ性能表示制度でも、住宅の省エネ性能から「目安光熱費」を算出する仕組みがあります。
ただし、この目安光熱費は一定の条件に基づく試算であり、実際の光熱費は家族構成や住まい方、設備、エネルギー料金などによって変わります。
だからこそ、単純に「年間○万円安くなる」と断定するのではなく、建築費と将来の暮らしにかかる費用を総合的に考えることが重要です。

SHINKAが考える「ちょうどいい高性能」
私たちSHINKAが目指しているのは、数字だけを追いかけた住宅ではありません。
高い断熱性能を確保しながら、太陽の光や風を読み、窓の位置や大きさ、軒や庇、間取り、素材、空調計画まで含めて設計する。
そして、必要以上に設備に頼らなくても、自然の力を上手に取り入れられる住宅を考える。
それがSHINKAの考えるパッシブデザインです。
高断熱・高気密という「性能」と、建築家による空間設計という「デザイン」。
その両方を組み合わせることで、単に「スペックの高い家」ではなく、長く暮らすほど価値を感じられる家を目指しています。

断熱等性能等級6を「ゴール」ではなく「基準」に
私たちは、断熱等性能等級6を「これ以上必要ない」という絶対的なゴールだとは考えていません。
建設地、敷地条件、建物形状、窓の大きさ、方位、家族構成、暮らし方、予算によって、最適な性能は変わります。
そのうえで、茨城を含む関東の住宅では、
断熱等性能等級6、HEAT20 G2水準を一つの基準として考え、そのうえで住宅全体のバランスを整える。
これが、イニシャルコストとランニングコストのバランスを考えたときの、SHINKAの一つの答えです。
もちろん、さらに高い性能を必要とする方には、その性能を目指すこともできます。
大切なのは、
「一番高い性能にすること」
ではありません。
「自分たちの暮らしにとって、どこにお金をかけることが一番豊かにつながるのか」を考えること。
それが、これからの家づくりには必要なのだと思います。

家は「買うもの」ではなく、「長く暮らすもの」
家づくりでは、つい建築費という大きな数字に目が向きます。
しかし、家は完成してから何十年も使い続けるものです。
だからこそ、
建てるときのコスト。
暮らしてからのコスト。
そして、その家で過ごす時間の価値。
この3つを一緒に考える。
SHINKAは、そんな家づくりを提案しています。
環境への負荷を抑えながら、家族にとって快適で、長く愛着を持って暮らせる住まいへ。
性能だけでも、デザインだけでもない。
「暮らし全体のバランス」を考えること。
それがSHINKAの考える、高性能住宅です。